春の気たつを以て也(暦便覧)
立春とは冬から春の季節の変わり目にて、春の気配が寒さの中から忍び入ってくる時期。気象的にはまだ寒さは続きますが三寒四温にて、3日寒さのあとに4日温かな日が交互に続く時期でもあります。
また旧暦では立春とは「立春正月」として春の訪れを新年と同等の日とも考えていました。旧暦において立春は、太陽の黄道における移動時差のため2年に一度は「年内立春」と言われ、年が明ける前に立春を迎えるため、旧暦においては必ずしも立春が正月ではありませんでした。
この季節は、寒さの中に、春待ちわびる行事や季節の食べ物などが春の気持ちを表しているようです。ちょうど「春告草(はるつげくさ)」梅の開花時期。和菓子ではうぐいす餅や桜餅などが店頭に色を添え始めます。これらの生菓子は「朝つくって、その日のうちに食べる」ことから「朝生菓子」と呼ばれています。
立春朝搾り
あらたな生命の息吹が感じられる時期、立春。そんな新たなはじまりを祝う酒を、立春の早朝に搾り、造り出される新酒を「立春朝搾り」と言います。搾り立てのお酒をその日のうちに皆さんの手元に届けるため、瓶詰め、ラベル貼りなど酒蔵は夜通しの作業。酒販店も酒蔵に手伝いに行き、この一大行事をみんなで支えます。
その日に出来たてのお酒を呑める訳ですから、劣化するヒマも無いとのこと。酒蔵でしか味わえない、さわやかな香りと新鮮で躍動感あふれる味わいを楽しむことができるそうです。それはまさにワインのボジョレーヌーボどころではないですよね。立春の早朝に仕上げるため、完璧な管理と微妙な調整が必要となり、神経を使うことからも杜氏さん泣かせのお酒だそうです。
1月末締切予約にて取扱い酒販店で直接購入することになりますが、運が良ければ立春朝搾りの店頭販売にありつけるかも?店頭販売は「日本酒名門会加盟店」のみになりますので、詳細な加盟店リストは「日本酒名門会公式サイト:
加盟店一覧」に掲載されています。
神奈川県のあるお店に電話で確認したところ、2月4日は夕方16時頃に入荷予定にて、予約無くとも購入できますとのこと。都内のお店では14時頃の入荷予定でした。ただ、入荷本数は限定ですので各店舗に連絡をしてから行ってみることをお薦めします。
三重県美杉村 仲山神社「ごんぼ祭」
毎年、2月11日に行われる三重県美杉村に400年以上前から伝わる「ごんぼ祭」。「子孫繁栄」と「五穀豊穣」を祈り、男女のシンボルをかたどった木とわらの御神輿が繰り出すことから「ヘノコ祭」とも呼ばれています。この天下の奇祭といわれるお祭りの時に奉納されるのが、朴葉の上にのせられた「味噌ごぼう」。ごぼうを山椒味噌や唐辛子味噌であえたぴりからな「味噌ごぼう」はおつまみとして日本酒にも相性抜群。当日は参拝者にもこの「味噌ごぼう」が振舞われます。
みなさまからのご意見や投稿をお待ちしてます。