お正月気分も抜けてくる。季節の節目、春の到来の気配を伝える「立春」。季節の行事としては、「節分」は有名ですが、日本酒の業界ではこのおめでたい立春に年一番の仕込みを行う「立春朝搾り」というお酒を蔵出しします。
その日に作られた生酒をその日のうちに楽しむ祝い酒。今回はこの「立春朝搾り」をご賞味させていただきました。
立春朝搾りとは
そもそも「春朝搾り」とは...。
春の始まりを寿ぐめでたきこの日に、前日から一晩中もろみをしぼり続け、朝に搾り上がったばかりのお酒をその日のうちにお手元にお届けするのが「立春朝搾り」です。
今年2010年は全国37蔵元で開催されました。生まれたての新酒で、生まれたての春を祝、何とも粋なお酒。
立春の未明に搾りあがったお酒をその日のうちにおとどけするため、地域の酒蔵さんに酒屋さんが足を運び、搾りたてのお酒の瓶詰めやラベル張りを手伝い地元に昼過ぎに持ち帰る販売します。
立春朝搾りは参加蔵元は37蔵で行われ、各蔵元の近郊にある日本名門酒会加盟の酒販店でしか買えません。基本、予約販売ですが、酒屋さんによっては若干、店頭販売していました。今回は、何とか二本の蔵本さんの「立春朝搾り」を入手しました。
出典:日本名門酒会公式サイト
貴重なひと雫をいただく
私もこの「立春朝搾り」を知ったのは一月末、すでに予約は1月25日に閉め切られ、これは加盟店に片っ端から連絡し、店頭販売分を入手するローラー作戦にでました。
我が「のらくり」本部を構えてる地区は神奈川県横浜、この地域で入手できるのは東京の澤乃井。基本、酒店が蔵元に直接出向くため地域に一ヶ所の銘柄しか基本、出回りません。つまり、地域限定酒。その中で、日本名門酒会公式サイトの取扱酒店を調べると東京都の中目黒にある創業40年の酒屋さん「山木屋」さんでは東京の澤乃井と栃木の開華を取り扱っていました!
早速、電話をかけると生きのいい女性が応対してくれ、快く2本取り置きしてもらいました(幸)。
粋な人情と生まれたての生酒
山木屋さんへは、東急東横線、祐天寺駅から徒歩15分、無事にお店につくと凛とした女将さんがお出迎え。すぐに冷蔵保存してくれていた二本のお酒を出して来てくれました。こちらの女将は、すでに息子夫婦にお店を任せているようですが、本当に日本酒を愛している様子、しばしいろいろと日本酒のお話しを聴かせてもらいました。女将にとっての日本酒とは「決してその味わいは人を裏切らないね」、軽やかにして白髪の小柄な身体から、粋で力強い言葉をいただきました。お若いときも、さぞかしお奇麗だったのでしょうね。今でも肌がつやつやでした。日本酒のおかげでしょうか。(笑顔)
ボジョレーヌーボなんて目じゃない
自宅に戻り、早速、ご賞味。まずは澤乃井。フタを開封した瞬間に沸き立つ鮮やかな香、目の前に桜の花びらが舞あがる記憶。
もう、すごい!の一言。一口、くちに移すや身体がスーっと軽やかになるがごとく、香り抜けする艶やかさと香味が鼻の頭からつま先までお酒が透過するのを感じます。続いては開華。こちらはお米の力と型がはっきり浮かんでくるがごとき、きりっとした味わい。無粋な言い方をすれば辛口なんですが、お米のあの柔ら感な楕円を思わせる味といいましょうか、角は取れてた丸みがある味わいに独自の筋が見える「一本気」な安定した深い懐を感じさせてくれます。
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