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棚田で田植え体験!佐渡島 岩首

2010年05月11日
佐渡島 岩首の天空棚田

日本の原風景、棚田で田植えのお手伝い

佐渡島 岩首の秘境 天空棚田

いっちきました!沖縄本島に次ぐ面積を持つ離島、"佐渡島"。今回はGW過ぎの田植えシーズに棚田の田植えをお手伝い。しかも、手植え体験!前回に続き、援農ワーキングホリデーの旅は、初夏の佐渡島に再上陸!佐渡島には"千枚棚田"など山あいを利用した棚田が今でも多く残っている地域。今回は岩首にある天地、海の繋がる岩首の天空棚田で田植えのお手伝い。
まばゆいばかりの日差しと緑に迎えられ、生命の息吹を身体中に受けながらの田植えレポート、デス。

全国の田植え時期

夕暮れを映しこむ棚田の水鏡

日本の田植え時期は、地域や稲の品種による違い、二毛作などの様式でも異なり、早いところでは、沖縄県は3月上旬、遅いところでは、九州地方や栃木などは6月中旬頃など様々。地理的にみると、北が早く南が遅い傾向があるようです。米どころの北陸・東北地方は、おおよそ5月の上〜中旬に集中しています。
【出典】農林水産省:グラフと絵で見る食料・農業(統計ダイジェスト/5.米のできるまで)

佐渡島の岩首で30年近く農業を営んでる、大石惣一郎さんの棚田に手伝いに伺いました。自称(笑)、"棚田おじさん"こと、岩首の棚田や景観をこよなく愛し、金は無くともアイデアに満ちあふれ、地元の岩首を一生懸命、盛り上げています。今回は、廃校になった小学校を宿泊施設として再生した"岩首談義所"(こちらも大石さんの発案)に宿をとり、2泊3日の援農ワーホリ旅のスタートです。

田植えへの道

5月6日、夜22時30分に東京を夜行バスで出発し、翌朝6時に新潟港に到着。新潟港まで平日、緑に彩られた棚田の風景片道3,550円(割引料金)と格安!車中泊ですが、何とか寝れたと思ったら新潟港に到着。乗車時間は、8時間ほど。新幹線なら2時間で新潟到着ですが、料金は3倍弱!(10,270円/片道:定価)。背に腹はかえられませんな(汗)。新潟港からフェリーに乗って約2時間30分、佐渡島の両津港に到着。船の中では、爆睡。初夏の時雨の中、港より岩首まで約1時間の路線バスの旅。晴れ男、汚れを落とす雨の中でのんびり揺られながらしばし雨の佐渡の景観を楽しむ。晴れていたら海岸線はさぞ、きれいだろうと想像しつつ、弁当をバスの中で食らいなが岩首に到着。途中、おばあちゃんが間違って反対方向のバスに乗ってしまい、一時、バスが立ち往生。結局、降りてバス停まで歩いてもどりましたが、無事に帰れたかな、あのおばあちゃん。ちょい、心配。

田植えは入念な準備から

苗箱にはいった育苗

もちろん、毎日食してます、お米。しかし、その作られ方は、正直、ちゃんと把握はしていませんでした(汗)。田植えの準備段階の作業を調べてみました。

まずは、田植え準備に種もみ(稲の実、つまりお米)を塩水につけて実の詰まった実を選別。重たいもみが沈み、その種もみを使用します。

その種を育苗箱に肥料を加えた土にまき、土をかぶせてビニールハウスの中で温度管理をしながら10数センチほど育ててから田んぼに植えます。昔は直接、田んぼに種もみをまいて育てましたが、今では効率や天候に左右されずに丈夫な苗を育てるため、苗のビニール栽培が一般になっているそうです。

さて、今回はここからお手伝い。まずは育苗ハウスに行き、苗箱を積出します。今回は7枚の田んぼの苗付けを行う、約100箱の苗箱を田んぼへ運びます。一箱、約5kg。60cmx30cmほどのプラスチックの苗箱を軽トラックに摘んで山に登ります。これも結構、一苦労。普段は独りで行っているとのこと。今回は2人で3時間ほどでかけて、明日の田植え下準備が完了。

この苗箱運び、意外と大変で箱の持ち方も最初は片手で一箱づつ掴んで運んで行きますが、握力が落ちて、箱も落としたり(汗)。そうすると、二段に重ねて両手で運んだりしますが、農家さん、はじめから丁寧に箱の持ち方などの指導もありません。学校の先生じゃないからね。教わるより慣れろって。目て盗め!援農ボランティアといえども容赦なし。毎回のことですが、習うより慣れろってね。夜行バスの疲れもとれないまま、黙々と重労働をこなすアラフォー隊長。そろそろ、この援農体験企画も、誰かに引継ぎたい気持ちで胸もあつくなる夕暮れ時のたそがれ族。

雄大な景観と蛇行する地形の美

今回は既に完了していますが、この他に冬の間に寝かしていた田んぼに肥料と土がよくまざるよう、トラクターで"田起こし"をします。そして、田んぼに水を入れ田の深さにむらがでないようにしてから、苗が同じ深さに植えられるための"代かき(しろかき)"を行い田植えに備えます。この代かきを丁寧にしていない田んぼは、田植えの時にすぐに分ります。田んぼの床が平らでなく、部分的に苗が水没し、死んでしまいます。このあたり、生産者の作業の精度に個人差が出てくるところでもあり、作業を手伝うと良くわかります。

泥の田園に華麗に舞え!田植えはバランス感覚を育む

若いサポーターとともに田植えで四股踏む

朝の岩首、天空棚田からみるさわやかな景色

翌朝は、ホトトギスの鳴き声に起こされ6時に起床。天候は快晴になり、田植え日和な土曜の朝。しかし、日差しも強くなれば、これはこれで大変。朝食後の午前8時頃、宿泊所の岩首談義所を出発。本日は他に地元の若者達が、棚田酔っぱらいおっさん、もとい!、棚田おじさんのもとに現地集合。増員にちょっと一安心。

初めに横浜から1人で佐渡島に渡り、自給自足生活に憧れて移住してきた青年男子、20歳の海野くんと合流。初夏でも毛糸の帽子をかぶり、既に佐渡島住人の仲間入り?した風貌で登場。彼は若さと農業への情熱を兼備え、我が輩よりも3倍の早さで手植えをこなす優秀な若者。いつも、田舎に訪れると40過ぎたおっさんも容赦なく若者扱い(汗)で、重労働を余儀なくされる現状に、毎回はらはらしてましたが、今回は強力でほんまもんの若者が参加でグッドです。

若者サポーターが田植えの応援

さて、手植えにおいては、新潟地方では後ろに後ずさりしながら手で田植えをするらしいが、この佐渡は前進しながら手植えをするスタイル。

手植えには、昔ながらの植え付け目安を田んぼの床につける八反(六角形の木の枠が8つ付いた筒)を田んぼに横倒し、手で転がして格子模様の跡を田床につけます。ちょうど四角い升目の四隅、交差しているところに苗3本を目安に指の第一関節の深さに植え付けます。

前日に普通のゴム長で田んぼに入るや、慣れないせいもありうまく動けなく、裸足でやろうかと言うと、棚田おじさんから「新潟県内で○○○虫に刺されて死んだ人がいるから止めておけ」など脅されて、即、却下。さすがに田植えで命をまだ絶ちたくないぜ(沈)。足のサイズに合わない長靴だったので、他のものにかえたら快適。しかし、前進しながらの田植え、考えてみれば自分が植えた苗を踏まず倒さずに進むのは結構、大変。最初はそろりそろりと慎重に前進。そのうち慣れて、簡単に苗が倒れないことを確認して猛攻撃!と思いきや、苗の植え忘れなどもあり、後ろを振り向いて植えたり、さながら60年代のツイスターゲーム。身体をねじり、もー大変(笑)。バランス感覚が田植えで養われました(涙)。

お昼に、おむすびでまったり休憩

田植え援農サポーター

午前中には合計、6名の若人?が集合し、昔ながらの手植えで田んぼ2枚が終了。いゃー、自分より若い人が来て大助かり(笑)。

豆らかやから一望する棚田の眺め生産者さんに言わせれば、機械でやれば一枚、30分ほどで終わるけど手植え&素人で午前中に2枚も終わるとは思ってなかったよとの賛辞。アラフォー隊長独りでは、到底、無理でしたね(笑)。

昼は山の上にある休憩所でみんなでお昼でくつろぎ。たまらん景色に心も満タン。飯も旨いよ、この景色みながらみんなで食べたら。普段は独り孤独に作業をこなす棚田おじさんも、若者に囲まれ上機嫌。気づくと1人、麦酒をプシュッとしている。おぃ、いくらなんでも自分だけかよ、と思いながら優しくご老体をいたわるサポーター達。いい人だらけの田植え大会。そんなこととは別に、ここからの棚田を一望できる眺め、本当に心が洗われます。

午後は、機械で植えた田んぼで、苗が流れてしまったり巧く植えられてないところを、手で補植していきます。特に機械で植えられない田んぼのすみやわきを手で植えていきます。そうして何とか、夕方、午後5時30分頃に無事、田植えは終了。お疲れさまでした〜(汗&泥)。

自然の中で気づくこと

天地の水鏡ラプソディー

高速バスから眺めた新潟の水田風景

アメンボが泳ぎ、蛙が鳴く自然の田んぼにいるだけで心が落ち着く、平和で幸せな時間。昔は、家族総出でおこなった田植えも、今では、どこも高齢者が独りで黙々と作業をこなしているようです。

大勢で作業を行うのは、農作業だけでなくとも、本当に楽しいもの。まだ、この佐渡市も援農ボランティアはそれほど定着しておらず、受入先もボランティアの受け入れに慣れていないことも多いですが、こうやって若い人が田舎を訪れる機会や交流が増えると双方の刺激になるのだろうと実感。

受入先の生産者さんも、単に都会の人達に農業の大切さ、大変さを言葉で伝えるよりも、多くの事を実感してもらえることでしょう。また参加者も、体験農業は、単なる観光気分ではじめたとしても、最後には自然が語りかける何かを心で感じとれる貴重な時間になると思います。

3つの棚田と日本海の景色

今回の体験で、改めて生産者側の現状の問題改善意識の課題、つまり、「農業は大変」だけを押売したり、言い訳にしないで独自の流通や生産物に対する価値創造の視点と情報発信を行うことや、生活者側の買う側としての問題意識の温度差など、この両者に隔たりが存在することも改めて実感しました。

みなさんも、この夏などに、地方に出かけて生産者さんと大いに語り合い、そして大自然に目を向けてみれる農村ワーキングホリデーに参加してみたらいかがでしょうか。ニュース番組では分らない、新たな気づきがそこにはあるかもしれません。

                
  

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