棚田で稲刈り!秋の収穫祭
佐渡島 岩首の天空棚田で稲刈り体験
いってきました!沖縄本島に次ぐ面積を誇る食と文化の宝島、"佐渡島"。今回はGW過ぎに棚田の田植えをお手伝いした岩首の天空棚田に再上陸。
今年だけで五回目の佐渡島上陸。そろそろ佐渡島観光協会からヨーロッパ往復航空券でも頂いても良いくらいな通いっぶり(笑)。
「自分で植えたら自分で刈れ」との棚田農家の大石"棚田おじさん"の命令、もしくは因縁か、10月9日からの連休を利用して秋晴れの中、稲刈りお手伝い。
晴れ男の気ままな稲刈りと秋の空
東北地方の稲刈りも終わりになる頃、佐渡島も10月上旬には稲刈りはすんで、新米の脱穀などがされる時期。
岩首名物、大石"棚田おじさん"は、わざわざ一枚の田んぼを稲刈り隊のために残してくれ、総勢11名豪華銀河系キャストでラスト稲刈りに挑みました。当初はこの大人数で一枚の田んぼの稲刈りとは、どう考えても圧勝ムードのはず...だったんですけどね。
「5分で終わるだろ、あとは栗拾いでもいくか」などとのんきな棚田おじさん。甘ーい。稲刈り体験者は、その中でも3名のみ。あとは素人銀河系軍団。カマなんて日常ではほとんど使う機会も無いですし...。まずは刈った稲を束ねる稲縄をまとめる作業から。稲縄の束をたばねて埃などを取るため、手でしごきます。まぁ、ここまでは何とかなるってな感じ。
早速、稲刈りになると、これが一苦労。稲のつかみ方は、自分に向けてつかむのでなく、外を向けて稲をつかむ「逆はん」グリップ。こうしないと力みすぎて稲を手前に倒してしまいカマで刈り上げ自分の手や腕を斬りつけないための工夫だとか。
しかし、前日は雨が降り、田んぼはぬかるんで、動きもぎこちない。棚田おじさんは1人サクサク稲刈ってます。残りの最強素人軍団は、マイペース。刈った稲は片手で持てるくらいの束になったら脇においておき、後で稲縄で束ねます。足場がおぼつかないのと、腰まげての姿勢は予想通りのダイハード(汗)。
刈るだけでないのが稲刈り。
先人は、山に海に、何を思い続けて来たのか。
現在の農業は機械化にともない、コンバインでダッーと刈っるのですが、今回はオールドファッション。手で刈って木のやぐらに干す「ハザ掛け」で稲を天日干しにします。
機械で乾燥させるとまだ熟してないモミも、青く未熟なまま乾燥されてしまいます。それに比べ、太陽で天日干しされたモミは、未成熟のモミも乾かされている内に成熟し、未成熟が少ないとのこと。味わいも天日干しの方が深いとか。それでも手間は、天日干しの方が当然、何倍もの人でが必要となります。それでも米価は一緒なんですよね。
みんなで稲刈りをして一時間くらいで何とか田んぼ一枚の稲刈り終了。途中、にわか雨など降って来ましたが、何とか無事に稲刈り完了。
お茶休憩をし、次は稲を束ねる作業を開始。これが慣れないと知恵の輪みたいに大変な作業。4本ほどの稲縄を両手でヌンチャクを持つように握り、置いてある稲にくるりと巻き付けます。これ、やってみないと見てるだけでは全く分りません(汗)。
何度かやるうちんに要領をつかみ、何とか全ての稲を束ねて軽トラに積込み終了。ハザのある場所に移動し、稲を掛けますが、これも稲の束を二つに割って木に引っかけますが、ただかけるだけでなく風が吹いても落ちないように木に引っかけるよう工夫が必要。いろいろとあるのです。奥深いものです、先人の知恵は。
午前10時開始で12時30分には無事、終了。岩首談義所に戻り、カレーライスで稲刈り体験をしめました。お疲れさまでした!
時代が残していく思いと知恵
山間の中に佇む佐渡島の岩首の天空棚田。この雄大な景色を眺めるたびに昔の人はどのような思いでこの棚田を開拓し維持してきたかを目の前の空が問いかけてきます。
生きるため、この斜面をクワで掘り起こす。毎日、道なき山にのぼり、日の出から日没前まで作業をただ繰り返す日々。
その合間で目にする雄大な景色は、先人に何を語りかけてきたのか。
現代人にはただ美しく、先人の知恵の極みにただ圧倒されるこの景観は、多くの問いかけを残します。
時に感動的で、また時には残酷なまでに放棄された景観が無言で伝える虚無感と刹那。先人の遺産を引継ぐことの過酷さ。決してよその人には分らない、悲しみを土地のどこかに影を薄らと落としているかのよう。時間だけは容赦なくうつろいます。
他の村から来た若い漁師がこの景色を一緒に見て、「銀山とか佐渡島には美しい景観はあるけど、ここの景色こそ世界遺産だね」と呟いていました。正解のない遺産、守ることもただならない現実だけが、この言葉と対峙するように聴こえます。
担い手問題、人口減少、棚田を取り巻く状況はこの景色に比べて前途多難とも思われます。そんな先人達が残した、憂うほどに美しい景観は人の営みの強さと受け継ぐ困難な危うさの二律背反をこの空高い日差しとともに脳裏に焼き付けてます。
心と身体が吸収した時代の空気。棚田の稲刈りは、昔の人々の自然に対する羨望と畏敬の念を田の開拓する中で、まるで自然を自己制服してきた証しの箱庭のように大地に跡を残しています。
どうにもならない自然、それを半年ほど耐え忍んでその恵みをお裾分けしてもらう営み。稲作と人の関係を棚田の稲刈りで僅かながら体感できた瞬間。
しかし、内股の筋肉痛が非日常的で心地よい(笑)。生きて行くための勇気と覚悟がここにはありました。
岩首 2010秋 大収穫祭 Harvest Time